石橋幸緒女流四段記者会見

本日お集まりいただきましたのは、現在、棋戦進行中のマイナビ女子オープン、主催が株式会社マイナビ、公益社団法人日本将棋連盟、そして私ども弊協会の三者棋戦でございます。
その、明日に差し迫った準決勝の対局に、私、石橋幸緒が、出場断念をせざるをえないという状況において、お話をさせていただきます。
詳細につきましては、追って業務執行理事の庄田より説明をさせていただきます。

まずはじめに、私ども日本女子プロ将棋協会というのは2007年に、現在の公益社団法人日本将棋連盟より独立いたしまして、女流プロ棋士のみで構成している公益社団法人でございます。
会員数は現在17名。そして主に、女性・子供に向けて、またこれまで将棋にあまり馴染みのなかった方へ向けて将棋を知っていただく、そのような活動を主におこなっております。

昨年の2012年7月1日付で、内閣府公益認定等委員会より公益社団法人の認定を受けることとなり、それにともないまして、新しく、当協会独自の棋士規定というものを設けており、それはホームページにも発表させていただいております。
そしてその際に私ども女子プロ将棋協会、LPSAからは、初の新人女流棋士となる、渡部愛という北海道出身、19歳の女流棋士を3級ということで認定をいたしました。

その後、将棋文化を一緒に普及している公益社団法人、日本将棋連盟、そちらの方とやり取りをさせていただいておりまして、詳細は、追って後ほど申し上げますが、結論といたしまして、将棋連盟様からは「公益認定おめでとうございます」、また、「協会所属の新人女流棋士おめでとうございます」という祝辞をいただきました上で、「しかしながら、将棋連盟の認定ではないので、現段階では将棋連盟の主催する、また関わる公式戦には出場できない」という意向を正式にこちらとして受けております。

そして女流棋戦、皆さまご承知の通り、女流のプロ棋士には公式戦と呼ばれるものが7棋戦ございます。
今回、具体的にお話させていただきます、マイナビ女子オープンというのは、現在第6期を迎えておりまして、創設当初、第1期から日本将棋連盟と、弊協会と、株式会社マイナビ様の三者契約によって、主催、運営されてきたものでございます。

その、株式会社マイナビ様より、年末年始にかけて、「新人女流棋士の認定については、将棋連盟と話をまとめるように」というご意向、また見解が私どもの協会に届けられました。
ただ最終的には、その話はまとまりませんでして、その結果を受けて、簡単に申し上げまして、それまでのやり取りはありましたが、1月21日(月)をもって、最後通告ということで、来期については、三者棋戦のものを、将棋連盟と株式会社マイナビのみ契約をして、日本女子プロ将棋協会(LPSA)とは契約をしないという、二者契約ということで、通達をされました。

正直申し上げまして、これまで6年6期お世話になっておりまして、今後とも一緒に、また私ども微力ではありますが、女流棋界を発展させていけるものと思っておりましたもので、大変残念な思いと、そして同時に、端的に申し上げまして、一方的に排除されてしまったのかな、という痛惜の念を禁じえませんでした。

そして私どもとしましては、株式会社マイナビ様からの連絡を受けまして、現段階として、一部報道機関でも情報発信されておりますように、私ども日本女子プロ将棋協会は現在、公正取引委員会から被害者的立場というような立ち位置に立ちまして、事情聴取を受けております。
そのような状況において、協会として、残念ではありますが、排除されても出場はするということは、取り得る選択肢にないのかな、という判断をいたしました。

このような決定を、30日の準決勝、タイトルホルダーの女王をのぞいて4名、最終的にタイトルを取り得る可能性のある者5名、そこまで進行している段階で、契約主体者のマイナビ様からこのような通達を受けるというのは、本当に何と言っていいのかわからないぐらい、
大変ショックであり、正直なところを申し上げまして、対局を正常に履行できる状況にないと言った方が正しいかもしれません。

ただし私自身も女流棋士というこの世界に身を置いて、二十年以上現役を続けてきておりますので、もちろん本日お集まりいただいた皆さまは重々ご承知のことと思いますが、棋士にとって対局というのは、よく言われるように命と同じ、またそれ以上というふうに言われます。そのことはもう、重々承知しております。

ですので、この準決勝という大きな舞台で、しかもまたご存知のように、対戦相手は里見香奈女流四冠という、現代の女流棋界を牽引し、引っ張っている、一番、人気も実力も兼ね備えたスーパーヒロインと言った方がふさわしいでしょうか、そのような対戦相手ということで、何よりも、対局をできないというこの状況を、大変残念に、また、正直悔しくも、無念な思いも、今いろいろな思いが去来しております。

この、現段階の判断に至るに、本当に対局という部分を考えますと、楽しみにしてくださっていた全国の将棋ファンの皆さま、また、対戦相手としての里見女流四冠にも、痛切の思いといいますか、本当につらく胸が痛いということを、お伝え申し上げたいと思います。

ただし、ここに至るには、私個人、もちろん対局というのは棋士として、個人として対局をするものですけれども、同時に、日本女子プロ将棋協会という公益社団法人の代表者を務めさせていただいている以上、はたしてまた、その個人の意思のみで・・・。
様々な葛藤がありまして、最終的にこのような判断に至ったわけですけれども、協会としての今後を考えて、新人としての認定を認めていただけないということは、すなわち私どもの団体が、そのまま認められていないということと、同じと捉えております。それだけに、自分の目の前の一局の対局と同じか、それ以上に重いものではないかと考えた上での結論となっております。

私ども日本女子プロ将棋協会として、今後、いま、事業の中に、小学生、中学生の女の子たちの将棋大会、また、上は八十代から、下は幼稚園に入ったばかりぐらいのお孫さんかひ孫という年代間の、一緒になっての将棋の団体戦、また、全国各地での地区予選をおこなった上での女子アマ王位戦などと、女性大会を一生懸命やらせていただいております。

その中で、すでに現役の女流棋士になった方もおられますし、これから将棋界、女流棋界を引っ張っていくかもしれない女流プロ棋士の原石といった子供たちもたくさんおります。
その子たちが、将棋はもちろん自分の力で結果を勝ち取っていくものですけれども、対局をして活躍をする場を与えていただきたいと思い、今回のお話をさせていただくこととなりました。

(2013年1月29日12時~ 於TKP八重洲ビル)